iPhoneアプリやソーシャルゲームと呼ばれる新しい市場がぼっ興しているが、すでに過当競争に陥っている。
「コンテンツはあふれかえり、ものすごい勢いでデフレが起きている」――
新さんは、「もうかるソーシャルゲーム」の課題も指摘する。「人間の欲望をいかに掘り起こし、ユーザーがかかえているコンプレックスを徹底的に商品化しようという方向に世界が進んでいる」という。
(中略)
「クリス・アンダーソンの『FREE』で説かれているのも、人の心の中の一番柔らかいところに入り込み、いやらしい感じでわしづかみにしないとお金が取れなくなっているという実情だ。最近一般的になってきた行動経済学も、人間心理をたくみに利用してお金を取ろうというもの。だが本当にそれでいいのか」
「情報過剰になると、特定の情報を信じたいと考える人だけで社会が構成され、社会全体が弱くなる。余ったコンピューティングパワーは、その人が欲しいと思った情報だけで世界を構成するようになり、その狭い世界で欲しい情報だけで塗り固められていく」
だがその状況にも揺り戻しが来ると予想する。「人間は最高の高揚まで行くと燃え尽きる。“ネトゲ廃人”のようなものが顕在化してくるだろう。それをネガティブにとらえるかポジティブにとらえるかは難しいところだが」
今のコンテンツや社会は、「ユーザーにどう物語(ストーリー)を提供するか」の勝負になっているという。
「コンテンツ単体で提供しても、ユーザーは持続して関心を持ってくれない。何らかのストーリーを提供することが重要。優れた物語がその人の人生の一部になると、お客さんはお金を払い続けてくれる。
「KindleとiPad、どちらが勝つか」――こんな論争も、それぞれが物語性を帯びているからこそ盛り上がる。「Kindle対iPadは、巨人対阪神のようなものだ」印象に残った部分のみ、かいつまみ、引用。
今行われているのは、「未来のイメージの戦争」という。未来を感じさせる商品やサービスを提示することで、それを購入したり、それについてブログに書いたりすることが、「未来の自分に投資している気分にさせる」というのだ。「未来や将来を感じさせる商品やサービスの期待値に対してお金を払わせるスキームだ」